霊場までの道
巡拝中は、皆一心一体である。足の速い人も遅い人も、一つにならなくてはならない。いくら早く行っても、最後の人が揃うまで、バスは出発できないのだから、必ず揃ってお参りしたい。そして一人の先導で、
「ナーム、ダイシ、ヘンジョウコンゴウー」
と、頭をとり、一同声を合わせて復唱する。
先達は、時に応じて文句を変えると、気分が変わって元気がわく。
「朝から晩まで、ヘンジョウーコンゴー」
「足並みそろえて、ヘンジョウーコンゴー」
「声を合わせて遍照金剛」
「お大師様には光明真言」
などである。坂道で足下ばかりに気が取られているときなど、
「海がきれいだ、遍照金剛」
などと、途中の風景などを知らせたりすると、共感がわく。また、
「もうあと五丁だ、遍照金剛」
「ガンバレガンバレ遍照金剛」
「お寺が見えたぞ、遍照金剛」
などと、道標を知らせたり、ユーモアを交えるのは非常によいが、下品になったり、せっかくの信仰的雰囲気を損ねたりしないよう、あくまで「南無大師遍照金剛」を中心に唱えることである。 |